ヒアルロン酸豊胸について あとで溶かせたり完全に無くなるの? 冷静に考えて割に合う治療なのか?
ヒアルロン酸豊胸って、手軽なのがいいですよねー?
その分ハードルも低く、初めての美容治療では、特に勇気をふり絞って出来そうな気が・・・。
”他の人もみんな手軽にやってるし、時間が経ったら消えてなくなるというし、一応2~3年持つっていうし、ヒアルロン酸と聞くと何となくうるおい成分でぷるぷるして柔らかそうだし、脂肪豊胸みたいに脂肪吸引しなくてもいいからダウンタイムも短くていいし、最初の豊胸にはおススメ~!
って本当にそう思います?
自分の知識と経験からお答えしますね。
1.時間が経ったら吸収されてなくなる →
お顔のように何㏄とか少量ならマクロで言うとそうかもしれませんが、豊胸だと片胸100~150㏄も注入するので・・・。例え分散して注入しても、すべてが溶けてなくなることは考えられません。必ず薄い被膜に覆われて、一部はしこりになって残ってしまいます。
2.溶けなくても、溶かせる注射がある →
あることはありますが、100㏄とかすべてを溶かすには、どの位のヒアルロニダーゼが必要か・・・。下手するとヒアルロン酸代より高くなるかもしれませんし、しこりになっていたら被膜に覆われていますから、それこそ溶かせません・・・。エコーガイド下で、ちまちま溶かさなければいけない羽目になり、それこそコストが莫大になります!
それで面倒なのは、その後に ”やっぱり” 脂肪豊胸をやりたい!と言い出す人がいること!ヒアルロン酸豊胸をしていると、ヒアルロニダーゼをしても溶け残っていますし、通常の脂肪豊胸よりしこりのリスクが高いです!やっぱり不純物があると物理的に定着も阻害するし、完全に取り除いてから手術が出来る訳ではないので、それ自体がしこりの核になっちゃうんですね・・・。
3.持続は2~3年 →
90%とか、大部分が溶けるまでが2~3年で、見た目で元通りになるのは半年くらいでしょうか?ここが説明不足というか認識不足のことが多いですね。
またここで間違いなのが、なるべく持ちがいいヒアルロン酸にしたい!と欲を出すこと!
大体そういう製材はヒアルロン酸が吸収されにくくするために添加物が入って架橋してるので、それがアレルギーとか炎症反応を起こす可能性が高いですよ!
昔某国で長持ちするヒアルロン酸を入れたら熱が出て痛い!という患者さんが来て、長持ちするヒアルロン酸というだけに、ヒアルロニダーゼを打ってもなかなか溶けなくて、治療が大変だったこともあります!
ですからヒアルロン酸豊胸は、もしやるんだったら短期的な持続にして、異物が残ってアレルギー反応とかが起きにくくした方がいいです!
4.ヒアルロン酸は柔らかい →
硬いです!ヒアルロン酸で作ったバストは殆ど揺れませんし、谷間も自然に寄せられません!
5.ダウンタイムが短い →
シリコンバックに比べると痛みが断然違いますが、胸の痛み自体は脂肪豊胸とあまり差がないという人が多いので、胸のダウンタイムはヒアルロン酸豊胸も脂肪豊胸も、自分の手術ではあまり差がないです。
脂肪豊胸と比べると脚から脂肪吸引はしないので、確かにその部分に関してはダウンタイムに差がありますが、何のためのアキ―セルなの?ということです。
アキ―セル脂肪吸引(出来ればベイザーも併用)では、10年程前の脂肪吸引の10~20%くらいの痛み、ベイザー脂肪吸引の50%くらいの痛み、というのが平均的な感想ですので、腫れや内出血も1~2週間で素足でもわからなくなる人が多いですから、それほどお休みを取らなくてもダウンタイムはかなり軽減され、かなり脂肪豊胸もハードルが低くなりましたよ!昔の情報に惑わされないようにね!
6.入れれば入れる程大きく出来る →
皮膚が硬いですし(BANNAI式オリジナル3D注入法で注入することも出来なくもないですが半年の持続のためにしてもしょうがないので・・・)、脂肪と違い定着しないので、時間の経過とともに上に上がって鳩胸になったり(自分が一番嫌いなバストの形です)、背中の方に移動したりということを聞いたことがあります!体格にもよりますが、もし入れるとしても片側150㏄程度にしておいた方がいいですよ!(やること自体、賛成しないですが)
7.みんなやっているから、といってやるのが危険!
非常に日本人的な考えですね。”みんなやってるし”、というと妙に安心する・・・。
アメリカ人の形成外科医とヒアルロン酸豊胸についてディスカッションしたことがありますが、
”アメリカでは殆どヒアルロン酸豊胸はやらない”
と!
まあ、ヒアルロン酸程度では変化に気づけないというか、爆乳にしないと満足できないという文化もあるのでしょうが、
”大量に入れたらヒアルロン酸は完全に溶けないし、一度入れたら体内で散らばるから2度と取り出すことは出来ないので、シリコンバックの方がバックごと取り出せば、入れたものを100%取り出せるからまだ安全!”
というのが彼の意見でした。アメリカ人からすると、
”シリコンバックよりヒアルロン酸豊胸の方が危険!”
と考えられてるんですよ・・・。
でもその後、シリコンバックも(被膜が肉眼的に破れていなくても)徐々に成分が溶けだして外に出ているのか、それが引き金になって悪性のリンパ腫になり死亡例も去年から報告されましたから、本当にシリコンバックより危険と言えるかどうか・・・。まぁ、どっちもどっちでしょうか?
といいうことで、ヒアルロン酸豊胸をまとめると、
”わずか半年くらいしか大きくなった実感が持てず、しかも硬くて揺れない1カップ程度バストを大きくするために、しこりのリスクを取りながら数十万円コストをかける処置。あとで脂肪豊胸でもしたくなろうものなら、後のしこりのリスクを自ら上げる行為!”
という、非常に採算が合わない治療法になります!
それだったら脂肪豊胸の方が、
半永久的(短く見積もっても10~15年!)だし、柔らかくて揺れるし、1度に1.5~2カップは大きく出来るし(繰り返したら足し算で3~4カップサイズアップも出来ますし)、ダウンタイムはアキ―セル脂肪吸引で最小限で済みますし、しかもBANNAI式オリジナル3D注入法で作れば、他では真似できない自慢のバストが手に入りますから、採算でいっても絶対におすすめですが…!
ただし、そうは言っても
”急に知り合いとか彼氏(候補)と旅行に行くので、その時だけ間に合わせたい!”
という緊急避難的な使い方だけはヒアルロン酸豊胸も重宝するので、当院ではそのような考え方の元、超短期的な持続期間(1ヵ月未満)のヒアルロン酸豊胸しか承っておりません。
これなら、被膜が出来てしこりになるリスクも低く、しかも柔らかいですし、かつ急場も凌ぐことが出来るので、ニーズを満たしながらもリスクを下げられますから!
ということで、そのような方限定で、当院でもヒアルロン酸豊胸はしておりますが、それ以外の目的では、絶~対に脂肪豊胸がいいですねー!
このブログを執筆したドクター
銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 院長
坂内 誠
保有資格
医学博士/美容外科専門医経歴
-
1995
新潟大学医学部医学科卒
新潟大学医学部附属病院 外科勤務 - 1997 新潟大学医学部大学院外科学1入学
- 2001 同上卒 医学博士取得
-
2006
大手美容外科入職
都内大型院の院長を務め、グループ内の年間脂肪豊胸手術件数全国トップを毎年記録 - 2020 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック開設 院長に就任