豊胸手術の種類と特徴
豊胸手術には、①シリコンバック豊胸、②ヒアルロン酸豊胸、③脂肪豊胸の3種類があるが・・・
ヒアルロン酸豊胸は、2022年美容外科学会(JSAPA)から”豊胸目的に推奨しない”という扱いになりました!
バストアップするということですから、胸に何かしら挿入してバスト体積の増大を図り目的を果たすわけですが、その中身を何にするかということで、以下の3つの方法に大別されます。それらのメリットとデメリットを解説します。
①シリコンバック豊胸
別名インプラント豊胸ともいいますが、シリコンジェルを充填したバックを挿入してバストアップを図るものです。
シリコンバックだけでなく、その周囲に脂肪も注入するハイブリット豊胸というものもありますが、この方法もシリコンバック豊胸の1つです。
ハイブリット豊胸=シリコンバック豊胸+脂肪注入(←豊胸目的の脂肪豊胸ではない)
※この場合の脂肪注入はバストアップ目的ではなく、あくまでシリコンバックの感触の不自然さを脂肪でコーティングすることによってわかりにくくするのが目的で、体積増大の意味は薄いです。
シリコンバックの種類としては、中身(生理食塩水かコヒーシブシリコンかなど)や被膜の性状(ツルツルとしなスムースタイプか、ザラザラとしたテクスチャードタイプか)、形(丸いラウンドタイプか涙型のアナトミカルタイプか)で大別されています。
例えば、人気のシリコンバックの一つにMotivaがありますが、これは中身がコヒーシブシリコンで、被膜はテクスチャードタイプ。形はラウンド型ですが、起きた状態だとアナトミカル型に近くなる、という性質を持ったシリコンバックです。
ハイブリット豊胸=シリコンバック豊胸+脂肪注入(←豊胸目的の脂肪豊胸ではない)
※この場合の脂肪注入はバストアップ目的ではなく、あくまでシリコンバックの感触の不自然さを脂肪でコーティングすることによってわかりにくくするのが目的で、体積増大の意味は薄いです。
シリコンバックの種類としては、中身(生理食塩水かコヒーシブシリコンかなど)や被膜の性状(ツルツルとしなスムースタイプか、ザラザラとしたテクスチャードタイプか)、形(丸いラウンドタイプか涙型のアナトミカルタイプか)で大別されています。
例えば、人気のシリコンバックの一つにMotivaがありますが、これは中身がコヒーシブシリコンで、被膜はテクスチャードタイプ。形はラウンド型ですが、起きた状態だとアナトミカル型に近くなる、という性質を持ったシリコンバックです。
シリコンバック豊胸のメリット
1.一度に3カップ以上大きくできる
体格にもよりますが、シリコンバックが入るスペースがあれば、1回の手術で3カップ、4カップとサイズアップすることが可能です。
2.豊胸手術の中ではコストパフォーマンスがいい(ことが多い)
手術費用の相場が比較的安く、手術コストを安く抑えれることが多いです。何といっても1回で巨乳になりますから!
ですからシリコンバック豊胸で100万を超えるような見積もりの場合は、折角のシリコンバック豊胸の良さが半減すると思います。
3.一度手術してしまえば、それ以上サイズが小さくなることはない(←本当?)
例えばヒアルロン酸豊胸だと殆ど吸収されてしまったり、脂肪豊胸手術では注入した脂肪の半分前後が吸収されてしまいますが(その代わり、残って定着した脂肪は半永久的)、シリコンバックはサイズが不変と言われていますが…。(それが間違っていることは後述します)
4.シリコンバックを取り出すと、(バックが破損さえしていなければ)殆どのシリコンジェルを体外に取り出すことが出来る。
ヒアルロン酸豊胸やロスデライン(アクアフィリング・アクアリフト)などは、一度注入すると体内で散らばってしまうので完全に取り出すことは出来なくなってしまいますが、シリコンバックなら被膜ごと取り出すことが出来るので殆ど取り出せると考えられていますが…。
確かに肉眼的にはそうですが、ミクロには被膜から漏出しているケースも報告されておりBIA-ALCL(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)なども報告されています。
シリコンバック豊胸のデメリット
1.感触・動きなど不自然なバストになる
●シリコンバックの縁(大体バージスラインに一致)を触るとペコペコした感じがする。←これを軽減するために脂肪を周りにコーティングするハイブリット豊胸というものが出来たが、あくまで軽減させるだけ。
●触るとバストが冷たいのがわかる人もいる。(シリコンバックは血液が通っていないのでー)
●階段の登り下りで胸が揺れたりせず、また仰向けになってもバストが脇の方に流れるような動きもない。(いくら中身のシリコンや被膜が柔らかくなったとしても、所詮被膜に包まれている異物なので、自然な動きは再現できないようです)
●シリコンバックの縁(大体バージスラインに一致)を触るとペコペコした感じがする。←これを軽減するために脂肪を周りにコーティングするハイブリット豊胸というものが出来たが、あくまで軽減させるだけ。
●触るとバストが冷たいのがわかる人もいる。(シリコンバックは血液が通っていないのでー)
●階段の登り下りで胸が揺れたりせず、また仰向けになってもバストが脇の方に流れるような動きもない。(いくら中身のシリコンや被膜が柔らかくなったとしても、所詮被膜に包まれている異物なので、自然な動きは再現できないようです)
●バストを寄せて上げて谷間やデコルテを作るときの動きも自然ではなく、またシリコンバックの辺縁が浮き出て、いわゆるY字型の谷間になることが多い。
(写真)シリコンバックの境界が浮き出てしまっているのが見えますか?
2.被膜拘縮が起きることがある
シリコンバックという異物が体内に挿入されると、通常シリコンバックを覆うように被膜が形成されます。この被膜が時とともに石灰化することもありますし、硬く収縮してシリコンバックがボールのように硬い塊になり、熱や痛みが出ることもあります。
(写真左)被膜拘縮でシリコンバックが上に移動してしまったケースです。この後、当院でシリコンバック摘出と同時に脂肪豊胸手術をしました。
(写真右)被膜拘縮で被膜が硬く縮こまり、シリコンバックが硬く真ん丸いボールのように変形したケースです。この症例も当院でシリコンバック摘出と同時に脂肪豊胸手術をされました。
よく脂肪豊胸ではしこりができて石灰化することがあると言われますが、言い換えればシリコンバックも1つの大きなしこりであるとも考えられます。
3.他の豊胸手術に比べ傷が大きい
シリコンバックの大きさにもよりますが、挿入するために通常4〜5cmの傷が出来ます。最近はスムーズにシリコンバックを挿入出来るようにケラーファンネルのようなものが出来ましたが、それでも最低3cm以上の傷が出来てしまいます。
これに対しヒアルロン酸豊胸なら2mm程度、脂肪豊胸手術でも5mm程度で済んでしまいます。
4.痛みも大きい
シリコンバックが入るスペースを完全に剥離するので、どうしても痛みは強くなる傾向があります。一般的に大胸筋下に挿入するケースが乳腺下や大胸筋膜下に挿入するよりも痛みが大きいです。
これに対しヒアルロン酸豊胸や脂肪豊胸の胸の痛みは、経口の痛み止めを数日飲めば痛みを訴えるケースは殆どありません。
5.破損するリスクがある
如何に被膜の強度が増したとしても、被膜が傷まないように丁寧に挿入したとしても、経年劣化から逃れることはできません。
写真は上下ともシリコンバックを取り出した時には既に体内で破損していたケースです。破れたシリコンバックは黄色く変色しており、かなり以前から破損した状態で体内にあったと考えられます。
6.入れ替えの必要がある(一度入れれば一生ものではない)
よって入れ替えの保証がしっかりとしたクリニックを選ぶのがポイントになります。
必ず入れ替えの必要が出てきますから、その時に無料入れ替えの保証などがないと、シリコンバック挿入の時に安く見えても結局は高くついてしまいます。
7.乳がん検診(マンモグラフィー)を受けられない
原則的にマンモグラフィーを受けると破損するリスクがあるので、一般の乳がん検診は受けられないことが殆どです。
8.LEDライトで光る
以前TV番組で紹介されていましたが、シリコンバックの中に直進性の強いLEDライトを入れると、シリコンバックの被膜内で光が乱反射して発光します。(写真左)
これがバスト内で起こると赤くシリコンバックの形に光ります。(写真右上)
ちなみにこれを脂肪豊胸で作り替えると赤く光ることはありません。(写真右下)
9.豊胸したことがバレやすい
以上のことから、シリコンバック豊胸は、残念ながら豊胸したことがバレるリスクが高いと言えます。
10.乳首の感覚が鈍くなったり痛みが出たりすることがある
脂肪豊胸手術は細いカニューレで注入するので殆どこのようなことは起きませんが、シリコンバック豊胸だと乳首の感覚異常の方を散見します。
11.肋骨が窪むことがある
シリコンバックが体内に入ると、中から外に押し出すことにより皮膚が伸びてバストアップしますが、この中から押す圧力は外側にだけ伝わるのではありません。
内側にも平等に伝わりますから、それが長期間に及ぶと身体の方がその圧力を弱めようと防御反応を起こします。
すると固い骨でも写真のようにシリコンバックの形に凹んでしまします。
骨は硬いので一度出来たらそのまま変わらない感じがしますが、実は毎日少しずつ作り替えられて新陳代謝しているんですね。
自件例で一番凹んでいたケースは、脂肪を100cc注入して初めて平らになったケースもあります。ということは、仮に300ccのシリコンバックを挿入していたとしても、その分が埋没していることになりますから、200ccのバックを挿入したくらいに豊胸効果が落ちていたことになります。
このように、シリコンバック豊胸といえども長期的に見れば破損して入れ替えるリスクもありますし、仮に破損していなくても豊胸効果が落ちてくることはあるのです。
12. BIA-ALCL(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)のリスクがある
シリコンバックによる健康被害のリスク(悪性のリンパ腫)のことで、2019年に報告されました。まだ詳細がわかっていないこともありますが、日本では数千人に1人程度の発生頻度ではないかと言われています。
よって、これからシリコンバック豊胸を受けようとする方は、このことをよく理解した上で臨んだ方が賢明ですし、
●手術を受けようとしているクリニックが手術の説明時にきちんとBIA-ALCLについて説明したか?
●そしてもし起きた場合はどのような対応をしてくれるのか?そしてかかるコストは?
事前に確認することが大事になると思います。
※2022.9 今度は BIA-SCC(乳房インプラント関連扁平上皮癌)という皮膚がんのリスクもあると報告がありました。やはり異物は変異原性がありますから怖いですね。
②ヒアルロン酸豊胸(その他のフィラー豊胸を含む)
豊胸手術が注射だけで済むので、豊胸後のダウンタイム(痛みや腫れ、内出血など)が一番少ない部類の豊胸術です。
使用する薬剤(フィラー)は、ヒアルロン酸を使用することが一番多いですが、その他に自分の血液の一部を使用したり、ロスデライン(アクアフィリング、アクアリフト)を使用するところがまだあったりと、それぞれに特徴の違いがありますし、クリニックによってはさらにFGFやフィブラストなどの添加物を加えることもありますので、これらは安全性に関わることですから、しっかりと注入される成分をリサーチをしましょう。
※ヒアルロン酸初め豊胸用のフィラーは、世界中を探しても承認製品は存在しないのが現状です! ← つまり安全性は不明ということですね💦
ヒアルロン酸豊胸(その他のフィラー豊胸を含む)のメリット
1.手軽でダウンタイム(痛みや腫れ、内出血)が軽度
手術時間は10〜15分程度で終了するので、比較的手軽に出来ます。
2.細身で痩せ型の人でも可能
痩せ型の人でシリコンバック豊胸だといかにもバックが入っているというバストになってしまったり、脂肪豊胸だと十分な脂肪が取れない場合がありますが、ヒアルロン酸をはじめとしたフィラー豊胸だと、その心配がありません。
3.傷が最小
注射でフィラーを注入するだけなので、2〜3ミリ程度の穴で済みます。
ヒアルロン酸豊胸(その他のフィラー豊胸を含む)のデメリット
1.感触が硬くてバストに動きがない
誤解や思い込みが多いのですが、ヒアルロン酸は基本的に硬く、バストに動きが出にくい傾向があります。
2.持続期間が短い
これも誤解や思い込みが多いのですが、持ちがいいと言われるものでも半年くらいで大分吸収されてしまうことが多いのが現状です。
3.フィラーが体内で移動することがある
ヒアルロン酸をはじめとしたフィラーは脂肪細胞のように定着しないので、豊胸後しばらくして体内を移動するリスクがある。ヒアルロン酸でも鎖骨下や背部に移動してこぶになったり、ロスデライン(アクアフィリングやアクアリフト)のケースでは術後数年してから二の腕の方に流れて行ったり、腹や股間にまで移動したケースも報告されています。
4.最大で1〜1.5カップ程度が限界
注入し過ぎるとフィラーが移動するリスクが高まるので、注入量には限界がある。
5.しこりや異物反応が起きることがある
ヒアルロン酸は完全に吸収されると思われていますが、これも完全な誤解です。かなり臨床的にしこりになっているケースに遭遇しますが、これは注入の仕方によるものだとは一概に言えないようです。写真は数年後にも溶けないでしこりとして残ったヒアルロン酸を除去した一部。
6.一度注入したら最後、体内から完全に取り除くことは出来ない!
シリコンバックだと被膜に覆われているので、破損さえしていなければマクロ的には体外にすべて摘出できますが、ヒアルロン酸をはじめとしたフィラー豊胸の場合は体内で散らばってしまっていますから、それを完全に除去することは不可能です。
よって”異物反応が起きたので除去したい”、とか”成分としての安全性に疑問がついたので完全摘出したい”と思っても、それは不可能だということです。
”ヒアルロン酸だったら、ヒアルロニダーゼなどの溶解注射があるので大丈夫じゃない?”
と思うかもしれませんが、これも誤解で、言う程簡単に溶かせるものでもありません。
ヒアルロン酸などのフィラー豊胸だとどうしても手軽なので安易に飛びついてしまうものですが、この辺りのことも考慮して、納得の上で治療を選択しましょう。
※美容外科学会(JSAPS)では、ヒアルロン酸豊胸の推奨度を、”(豊胸手段として)行わないことを強く推奨する” としています。
つまり安全性・有効性からみて、ヒアルロン酸豊胸はしないほうがいい!(=アクアフィリング・ロスデラインと同じ扱い)ということです…。
③脂肪豊胸
シリコンバックやヒアルロン酸などの異物を使用せず、自分の脂肪を脂肪吸引で採取してきてバストに注入して豊胸する、一種の脂肪移植手術です。
脂肪吸引の方法にベイザーやアキーセルといった機器を使ったり、採取した脂肪を遠心分離をするコンデンスリッチ豊胸やフィルターで濾過するピュアグラフトなどがあったり、定着率や長期間効果の持続が期待できる脂肪由来幹細胞を添加する方法など、クリニックによって様々な工夫がされています。
脂肪豊胸のメリット
1.異物を使用しないので安全安心
基本自分の組織を移動するだけなので安全安心ですが、たまにフィブラストなどの薬剤を添加したり、幹細胞を培養する段階で牛の胎児血清を使用したりするところもあるので注意しましょう。
2.感触や動きが自然
走ったり階段の昇降時に揺れたり、寝転ぶとバストが脇の方に移動したり、寄せて上げる時も動きも自然で谷間もしっかりと I の字になります。
3.部分痩せが出来る
もし余分なお肉があるのなら、気になる脂肪も除去出来るので一石二鳥。ボディーバランスをより整えることが出来ます。
4バストアップの効果は半永久的
移植して定着した分の脂肪は、ずっとそのまま。
5.何回でも繰り返せる
脂肪さえ取れれば何回でも手術が可能なので、脂肪豊胸手術をする度に足し算で大きくすることが可能。
6.大きくても垂れにくいバスト
脂肪組織は本物の乳腺組織より軽いので、本物の同じボリュームのバストと比べても軽く、下垂する心配が少ない。
脂肪豊胸のデメリット
1.痩せ型で細身の人は十分な脂肪が取れないことがある
必要最低限の脂肪が取れないとバストを膨らませることが出来ないので、少ない脂肪でも脂肪吸引を丁寧に出来るドクターか、もっと大事なのは少ない脂肪でもバストを大きくするテクニックを持つドクターを選ぶことが大事です。
2.効果に個人差がある
脂肪の移植手術なので、豊胸効果に個人差が出ます。大体1回の脂肪豊胸手術で1〜2カップのサイズアップが期待できます。
万が一定着しなかった時のために、サイズ保証があるクリニックを選ぶと安心です。
3.1回でのバストアップ効果には限界がある
これも脂肪の移植手術という観点から、例え一度に大量に注入しても定着は出来ません。逆にしこりのリスクが高まりますから禁忌です。
4.脂肪吸引で凹凸が出来ることがある
脂肪吸引に熟練したドクターや修正する技術を持つドクターや保証があるクリニックを選ぶ
5.ダウンタイム(痛みや腫れ、内出血)が出る
脂肪豊胸の場合は、主に脂肪吸引部にダウンタイムが出て、お胸はそれ程問題にはなりません。脂肪吸引部は、新型の機器だとダウンタイムにも配慮していることが多くダウンタイムが少ないですし、経験豊富で脂肪吸引を丁寧に行っていると組織のダメージが少なくダウンタイムが軽くなるので、そこにも配慮するといいでしょう。
豊胸手術の種類のまとめ
以上、豊胸手術の主要な3種類の特徴やメリット・デメリットについて解説しました。
このコラムで豊胸手術のアウトラインがつかめ、ご自分がどの豊胸手術をするか決まったら、次はどのドクターで手術を受けるかを決めることになると思います。美容外科手術は、結局どのメニューをするかというよりも、誰が手術をするか?によって成功・不成功が決まりますので、是非納得の豊胸手術を受けて理想の自分、輝く人生を手に入れて下さいね。
このコラムを監修したドクター
銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 院長
坂内 誠
保有資格
医学博士/美容外科専門医経歴
-
1995
新潟大学医学部医学科卒
新潟大学医学部附属病院 外科勤務 - 1997 新潟大学医学部大学院外科学1入学
- 2001 同上卒 医学博士取得
-
2006
大手美容外科入職
都内大型院の院長を務め、グループ内の年間脂肪豊胸手術件数全国トップを毎年記録 - 2020 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック開設 院長に就任