COLUMN

〜医師監修〜脂肪豊胸に関するコラム

脂肪豊胸の脂肪吸引に必要なこと <脂肪吸引の種類とその特徴>

脂肪豊胸の脂肪吸引と瘦身用の脂肪吸引は同じか?

同じ脂肪吸引なんだから、何が違うの?

ということでしょうが、通常の瘦身用の脂肪吸引と脂肪豊胸の脂肪吸引は同じではありません。例え使う脂肪吸引器が同じでもです。(もし同じだと言っているクリニックがあったら脂肪豊胸的には素人ですね)

どういうことかというと、まず吸引量ですが、痩身用の脂肪吸引はあくまでも痩せることが目的なので、安全に取れる範囲でなるべく脂肪を多く吸引します。当たり前ですね。術者の技術にもよりますが、このため痩身効果も高いです。

ただ多量に取る分、内出血や腫れ、痛みなどは当然強くなります。

これに対し、脂肪豊胸の時の脂肪吸引は、あくまで脂肪豊胸のための脂肪吸引なので、豊胸に必要な分だけ脂肪を吸引すればそれで終わりです!

ですから取った分だけの痩身効果ですが、その分ダウンタイムも軽くて済みます。

もし脂肪豊胸の時に痩せる効果も最大限出したければ、契約を脂肪吸引メインにして、脂肪豊胸は二の次にするといいですね。ただし、価格は上がりますが・・・。

ですから、

”あそこのクリニックの脂肪豊胸手術で痩せました?”

という質問は完全に見当違いで、どこのクリニックでも契約が脂肪吸引メインで契約すれば(価格を上げれば)痩せれますし、脂肪豊胸メインであれば、取った分だけ痩せることになります。

その他にも違いはあるのですが、それを解説する前に脂肪吸引器について、おさらいしましょう。

脂肪吸引器の原理と種類

脂肪吸引は、数ミリの穴から細長いカニューレを入れて陰圧(バキューム)をかけ、脂肪を吸引する手術です。

ところが、いくら陰圧を強くかけたとしても、それでカニューレを引くだけでは全然脂肪吸引は出来ません!

ただ陰圧をかけるだけでなく、カニューレの穴に入ってきた脂肪組織を穴のところで切除することによって初めて、脂肪が中に吸引されて採取できるようになります。

ということは、カニューレの穴は薄くカッターの刃のようになっていて、それを往復して脂肪吸引していますから、脂肪組織周囲の結合組織(繊維質)を切り裂いて脂肪組織と一緒に吸引してしまったり、痛みや出血が出るのも道理なわけで、これが脂肪吸引の原理原則になります。

あとは、この陰圧をかけるのが手動でやるのか、機械でやるのかの2種類に大別されます。
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①シリンジ法
シリンジとは注射器のことで、大きなシリンジ(脂肪豊胸の場合は60cc程度の比較的大きなサイズで行うことが多い)で陰圧をかけ、吸引した脂肪を直接シリンジに回収する方法です。

シリンジ法の最大の特徴は、採取した脂肪が空気に触れる機会を最小限に出来ることで、これは脂肪移植の時の最優先事項です。

採取した脂肪細胞が空気に触れると、空気中の酸素によって移植する脂肪が傷んでしまい、そのような脂肪を注入しても定着率が下がることが懸念されます。

さらに、脂肪組織に含まれる幹細胞はもっと酸素に弱いと言われており、その意味でも吸引した脂肪を空気に触れさせないことは、脂肪移植をする上で重要なポイントになります。(移植を前提にしない脂肪吸引なら捨てるだけですからこれは関係がありませんが、これも脂肪吸引と脂肪豊胸の脂肪吸引の違いでもあります)

ですから脂肪豊胸の場合は脂肪移植ですから、このことからも自分の中ではシリンジ法一択になります。

シリンジ法の特徴としては、陰圧を任意に調節出来ますが一定ではない為に、吸引するのに慣れが必要です。

また、折角シリンジ法にしたとしても陰圧を強くかけ過ぎると、今度はそれで脂肪細胞が死んでしまいますから、なんでもかんでもシリンジ法なら安心で絶対大丈夫というわけではありません!

このようにシリンジ法は吸引圧が一定ではないですが、これは脂肪移植の時にはデメリットにはならず、全く問題がありません。

脂肪移植のことを考えると陰圧を強くかけ過ぎた時だけ脂肪細胞が傷むので、陰圧が不安定なことは問題ではなく、陰圧が強すぎることが問題になります。

特に機械で吸引する時は得てして吸引圧が強すぎて脂肪が傷むことが多いので、注意が必要です。

その他デメリットとしては、手作業なので大量の脂肪吸引には不向きなことでしょうか?例えば大腿の脂肪吸引だったら3000ccとか吸引することもありますが、これをシリンジ法でするのは現実的ではないし意味もありません。

しかし、脂肪豊胸での脂肪吸引なら700ccとか800ccとか、必要分だけ取ればいいのでシリンジ法で問題ありません。

このように、脂肪移植の時にはシリンジ法でなるべく酸素に触れないようにしながら、かつ圧力をかけ過ぎないように吸引圧を弱くしてチマチマと脂肪吸引することが重要で、実際自分の数千例の経験からもそう言えます。

こう考えると、

機械で吸引圧を上げてさっさと脂肪吸引されて、大きくなったように見せかけるために大量に脂肪を注入され(大量注入されても残らない)、

”定着しなかったのは体質ですね”

と言われて終わりになってしまったら、怖いですね・・・。

当院ではこうならないように手術では細心の注意を払っていますし、さらに極めつけにサイズ保証もありますから、ご安心下さい!
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②機械式(電動式吸引ポンプ)

シリンジ法のように手動ではなく機械で陰圧をかけ、1000ccとかそれ以上の大きな吸引瓶に脂肪を回収する方法です。

メリットは手動に比べて短時間で脂肪を吸引できること。デメリットは吸引瓶に回収するという仕組み上、吸引した脂肪細胞や幹細胞が酸素に触れて傷むので、脂肪移植用には向かないことです。

最近の脂肪吸引器は大体このシステムを採用しているので、シリンジ法以外の脂肪吸引といったら、採取した脂肪や幹細胞は大分酸素に触れて傷んでしまうと考えた方がいいでしょう。

ちなみに当院では新型のアキ―セル脂肪吸引器を使用していますが、デフォルトの吸引瓶(写真)は使用せず、シリンジ法を組み合わせた方法で脂肪吸引しています。

その他の脂肪吸引の種類 ベイザーやアキ―セルは?

大別すると①シリンジ法と②機械(電動式吸引ポンプ)の2種類ということでしたが、レーザーやベイザーなどは、これらに組み合わせるオプション(脂肪吸引前に脂肪を溶解したりする前処置をするシステム)と考えるとわかりやすいです。現在の主流は2種類あって、

1.超音波系(ベイザー、ウルトラZなど)
超音波を発振するロッドを体内に挿入して超音波を出すと、その出力により脂肪細胞を遊離させたり溶解させたりして脂肪吸引をしやすく前処置する方法です。それから①シリンジ法か②機械式の脂肪吸引器で吸引する訳ですね。後者を採用しているクリニックの方が多いと思います。(つまり、ベイザーを照射しただけでは、まだ脂肪は1滴も吸ってないわけです)

2.振動回転型(ライポマティック。アキ―セル)
レーザーや超音波を出して前処置するのではなく、脂肪吸引のカニューレ自体が振動と回転をして脂肪組織をバラしながら脂肪吸引する、という方法です。つまりライポマティックやアキ―セルは、それ自体が②機械式の脂肪吸引器です。

場合によって、①~③の利点をいいとこ取りするために、これらを組み合わせて脂肪吸引がされています。例えば、

ただのベイザー脂肪吸引ということであれば、ベイザー波を照射した後に②機械式の脂肪吸引で吸引瓶に脂肪吸引するでしょうし、

ベイザー併用アキ―セル脂肪吸引ということであれば、まずベイザー波をあてて脂肪を解した後、振動回転型で機械式のアキ―セルで吸引瓶に脂肪吸引しますし、

当院で行っているウルトラZ併用アキ―セル脂肪吸引(シリンジ法)ということであれば、まずウルトラZで超音波をあてて脂肪組織を解してからアキ―セルで脂肪吸引しますが、デフォルトで吸引瓶に集めると脂肪細胞や幹細胞が酸素で傷むので、アキ―セルで脂肪吸引しながらシリンジ法で回収する、ということになります。

これで理解できたでしょうか?

では、脂肪豊胸に適した脂肪吸引とは?

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脂肪豊胸とはご自分の脂肪移植手術であり、採取した脂肪組織を再度体内に戻すことが前提になります。

つまり、痩身用の脂肪吸引は、その目的からして脂肪細胞を溶かしたり破壊したりしても、結局は沢山取れればいい(それが目的ですよね?)のですが、もしそうやって脂肪吸引をしたものをお胸に注入したら、そんな脂肪が定着するわけがないですよね・・・。

また、純物が多く含まれている脂肪をお胸に注入したら、しこり(オイルシスト、脂肪壊死、石灰化)のリスクが高まりますから、なるべく不純物が少ないようにしないといけません。

この不純物は目視できる大きな繊維状のものなので、例えフィルターでろ過しても遠心分離しても除去することは出来ないですから、脂肪吸引の段階で極力不純物が混じらないような脂肪吸引器が脂肪豊胸に最も適した脂肪吸引器ということになります。

また採取した脂肪細胞や幹細胞が酸素に触れないことも、移植を前提としたら必須になります。

これらのことを一つ一つ考えて脂肪豊胸に適した脂肪吸引を考えていきましょう。

①酸素に触れない

先程解説した通り、脂肪細胞や特に幹細胞は酸素に弱いので、脂肪吸引の段階で出来るだけ空気に触れないことが定着を上げるためには大事になります。

そのためには、機械式で吸引瓶に回収する方法だとかなり空気に触れてしまうので、シリンジ法が望ましいということになります。

ここで注意ですが、酸素に触れないのが大事なのは脂肪吸引の段階ですよ!(脂肪吸引が終わってコンデンスする段階で空気に触れないと言っても、もう十分酸素に触れていますから意味がないですからね)

②不純物を吸引しない

カニューレ比較
脂肪吸引のカニューレの穴が大きかったり鋭利だったりすると、脂肪組織を吸引する時に繊維組織などの不純物を一緒に吸引してしまいます。

よってカニューレ穴が小さく鈍である必要があります。そうすると回収される脂肪細胞が小さく、また不純物が少ないことより、しこりになりにくくなりますし、同時に脂肪吸引の時の痛みや出血も軽減させるというメリットがあり一石二鳥です。

この条件を現段階で満たしている脂肪吸引用のカニューレは、アキーセル脂肪吸引器です。このカニューレだと全く鋭利さがないので、例え顔を引っ掻いても傷がつきません!それくらい優しいカニューレで身体の中を操作しないと出血も多いですね。

③余分な熱や圧力を加えない

ベイザーやウルトラZなどの超音波も、出力を上げて長時間かけると熱などで脂肪が溶解しますから、移植する脂肪にとってはよくないです!つまりベイザーなど超音波は、かなり注意してかけないと、脂肪豊胸には不向きなんです(脂肪吸引なら、どうせ捨てる訳ですから問題ないですが)。

かといって、例えばアキーセルだけで吸引した脂肪(恐らく現段階で脂肪に与えるダメージを最小限にして吸引できる)でも、バストの仕上がりでイマイチ丸さが出なくなります(これは3D注入法で丸くてプリンとしたバストを作れないと、その差はわからないと思いますが)。

よって当院では、脂肪を保護するためにウルトラZなどを短時間に出力を抑えて弱ーくかけてから、アキーセルのシリンジ法で脂肪吸引しており、現段階ではこの方法が脂肪豊胸の脂肪吸引としてベストだと考えています。

結論 現段階で脂肪豊胸用の脂肪吸引器で最適な機械はなく、利点を組み合わせる工夫が必要!

まとめると、

脂肪が酸化しないようにシリンジ法で取るのが重要だけど、かといってシリンジを使っても圧力をかけ過ぎたらダメ!

ベイザーも高出力・長時間はダメだけど、低出力で軽くかけるならOK!

アキーセルが組織を傷めなくていいけど、そのままだと吸引瓶に回収して酸化してしまうから、シリンジ法と併用(アキーセル・シリンジ法)じゃないとダメ! (← ということで、当院ではアキーセル併用コンデンスリッチ豊胸をイチオシですが、そのままアキーセルで脂肪豊胸しても、あまり大きくはならないですよ💦 最低でも4〜5個は独自に改良した方法でしないと、いい成績は出ません!)

など、なんでもかんでもシリンジ法ならいいとか、アキーセル脂肪吸引ならいいとか、そういう短絡的なものではないのが、脂肪移植手術という脂肪注入豊胸手術の脂肪吸引なのです。

最後に脂肪吸引の違いを知るのは大事ですが、結局脂肪豊胸というのはバストの形などの方が大事で、これは

どの脂肪豊胸メニュー、どの脂肪吸引器を使うよりも、誰が脂肪豊胸手術をするか?

が一番大事になりますので、そのことを念頭に本末転倒にならないように決定してくださいね。

このコラムを監修したドクター

院長 坂内誠
銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 院長 坂内 誠

保有資格

医学博士/美容外科専門医

経歴

  • 1995 新潟大学医学部医学科卒
    新潟大学医学部附属病院 外科勤務
  • 1997 新潟大学医学部大学院外科学1入学
  • 2001 同上卒 医学博士取得
  • 2006 大手美容外科入職
    都内大型院の院長を務め、グループ内の年間脂肪豊胸手術件数全国トップを毎年記録
  • 2020 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック開設 院長に就任

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