COLUMN

〜医師監修〜脂肪豊胸に関するコラム

脂肪豊胸手術 〜ピュア脂肪豊胸とコンデンスリッチ脂肪豊胸の違いについて〜

遠心分離とは?

コンデンス
コンデンスリッチとは、脂肪を遠心分離することによりコンデンス(濃縮)してリッチ(豊富)にする脂肪の処理方法です。

当院もCRF協会に所属しており、当然ウェイトフィルター付きの正規品を使用しています。

さて、コンデンスすると不純物を取り除けるのでしこりになりにくいとか、定着率が上がるとか言われてますが、果たして本当でしょうか?

ここでは、自分の10年以上、数千症例の脂肪豊胸手術経験から考察してみたいと思います。

コンデンスするメリット① より多くの脂肪細胞を注入できる

脂肪豊胸手術では、一度に注入出来る脂肪の量に限界があるので、濃縮して余計な水分を除去し、コンパクトにするのは非常にリーズナブルだと思います。

静置して水分を分離するより効率よく水分を除去出来ますからね。

コンデンスするメリット② 脂肪組織にコシがでる

かつて遠心分離していない頃は、採取した脂肪を水分と分離するのは、静置して分離させるのが一般的でした。

しかしそれでは充分に水分が除去出来ず、注入する脂肪にコシが出ません!

これで何が困るかと言えば、せっかくBANNAI式オリジナル3D注入法でバージスラインを広げたり高さを出せても、皮膚に潰されて元に戻りやすいことが上げられます。

つまり、バストを立体的に仕上げようとした場合は、脂肪はコンデンスした方がいい!という結論になります。

ただし、これは3D注入法で立体的に仕上げる場合で、水平注入法で皿型バストにする方法では、あまりメリットにならないと思われます。

コンデンスするデメリット 脂肪細胞が傷む

ん? 脂肪が傷む?

コンデンスすると定着率がアップするんじゃないの?

はい。脂肪細胞は圧力に弱いと言われているので、例えばお胸に注入し過ぎは内部の圧力が上がり脂肪の定着率も下がると言われています。

それなのに遠心分離って滅茶苦茶圧力をかける訳ですから、これで脂肪が傷まないはずなくね?
強いGで長時間では絶対に脂肪が傷みます!

ただ、ある程度Gが大きくないと老朽化した脂肪細胞を壊せないと言われてますが、ところで本当に壊れるのは老朽化した脂肪でしょうか?

色々と疑問が湧いてきますが、とりあえず自分は先程のメリット2つのために、遠心分離は短時間Gも弱めと最小限にしています。

コンデンスすることで定着率は上がるか?

採取した脂肪組織を遠心分離すると、幹細胞と脂肪細胞の距離も縮まり脂肪定着にいいのでは?とされてます。

しかしこれはあくまで理論予測であって、実際に臨床で脂肪豊胸手術を沢山行なっているものとしては懐疑的です。

実感で言うと、コンデンスして濃縮し、注入する脂肪細胞が増えるからその分定着しているだけであって、コンデンスして定着率が上がっているようには感じません。

コンデンスして不純物は除去出来るか?

不純物
原理的に遠心分離すると比重の違いによって分離することは可能です。

例えば水の比重は脂肪の比重より大きいので、水分と脂肪なら簡単に分離することは可能です。

ですから、ミクロに壊れた細胞赤血球薬剤成分などは簡単に水層に移行出来るので、これらも遠心で除去することは可能です。

またこの他にも、遠心するGによって脂肪をたっぷりと蓄えた大きくなった脂肪細胞も破壊されて除去されると言われています。

(※)自分はこの時に破壊される脂肪脂肪は決して老朽化した脂肪ではなく、逆に内部にしっかりと中性脂肪を蓄えた脂肪細胞だと考えています。

(大きくなった脂肪が古い脂肪細胞ということは、小さい脂肪は新しい脂肪細胞ということですから、これって後天的に後から新しく脂肪細胞がどんどん増えているという前提ですよね?脂肪細胞が後からどんどん作られてくるんですか?それなら脂肪吸引したらリバウンドしないというのも間違いになりますよね?)

これらの事実をもって、遠心分離によって効率的に不純物が除去されるが、

逆に遠心分離しないと定着率が悪い、しこりのリスクが上がる、

となっているようですが、これはかなり乱暴な論理展開な気がします💧


しこりのリスクですが、遠心分離して(ミクロな不純物を遠心分離で除去しても)、しこりが減った実感はありません。

逆に自分の15年の美容外科キャリアに於いて1番しこりが減ったのは、コンデンスを導入した時ではなくアキーセル脂肪吸引を導入した時です!

この一番の違いは、アキーセル脂肪吸引だとマクロな不純物が最小限だということです。

皮下脂肪組織は純粋な脂肪だけで出来ているのではなく、皮下組織を構成する繊維組織も沢山あります。

従来の脂肪吸引器では吸引口も大きく鋭利なので、この繊維組織、即ちマクロな不純物も沢山吸引してしまうので、それも一緒にお胸に注入しますから、これが原因でしこりになることが多いのです。

一度これらの繊維組織が混入してしまうと、いくらコンデンスしても分離することは不可能ですから!

これに対しアキーセル脂肪吸引器は、振動回転式で吸引口も小さく鈍なので繊維組織を避けて吸引してくれるので、マクロの不純物が少なく、その結果しこりのリスクも減ったのだと考えられます。

ということで、コンデンスしたらしこりが減る、と言う意見にはかなり懐疑的です。

それでもコンデンスする意味はある!

以上より、自分の数多くの経験から導かれた結論としては、例えコンデンスしても

①定着率は上がらない ← 濃縮して脂肪が多い分大きくなる
②しこりは減らない  ← しこりを減らすなら脂肪吸引の段階が最重要(よってピュア脂肪豊胸でもアキーセルを使うので、しこりのリスクは上がらない!

ということです。

しかし、上の2点のメリットはないですが、バストを立体的に仕上げるにはコンデンスした脂肪の方が適しているので、コンデンスする意義は十分あるでしょう!

(症例写真でバストを立体的に出来ていないところでは、定着率もしこりのリスクも変わらないのでコンデンスはしなくてもいいかもしれませんが…)

このコラムを監修したドクター

院長 坂内誠
銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 院長 坂内 誠

保有資格

医学博士/美容外科専門医

経歴

  • 1995 新潟大学医学部医学科卒
    新潟大学医学部附属病院 外科勤務
  • 1997 新潟大学医学部大学院外科学1入学
  • 2001 同上卒 医学博士取得
  • 2006 大手美容外科入職
    都内大型院の院長を務め、グループ内の年間脂肪豊胸手術件数全国トップを毎年記録
  • 2020 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック開設 院長に就任

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