COLUMN

〜医師監修〜脂肪豊胸に関するコラム

脂肪豊胸手術のしこり 〜しこりを減らす方法と対処法〜

脂肪豊胸による "しこり" って、何が原因なの?

脂肪豊胸手術はキチンと手術をすれば合併症が数少ない手術ですが、起きうるトラブルの1つとして、”しこりの発生”があります。

このコラムでは、しこりは何が原因で、どうしたらリスクを減らせるのか?また出来たらどうなるのか?そして対処法は?などの疑問にお答え致します。

しこりの原因は?

①定着できなかった自分の脂肪細胞

しこり
脂肪豊胸手術では、まず注入した脂肪がすべて定着できるわけではありません。(これを定着率と言っていますね)

それでは、定着できなかった脂肪はどうなってしまうのでしょうか?

普通、人間の体では、死んだ自分の細胞は貪食細胞に処理されて分解吸収されます。

例えば、頭を強くぶつけて”たんこぶ”が出来たとしても、しばらくすると元に戻っていますよね?

あれはただ腫れが引いただけではなく、強い外力で死んだ細胞や赤血球などが貪食細胞に処理されて吸収されるので、まったく元に戻っているように見える訳です。

同じように、脂肪豊胸手術の時に定着できなかった脂肪細胞も死んでいますから、これと同じプロセスを経て吸収されていきます。

しかし!

定着できるキャパを超えて一度に大量の脂肪を注入した場合(体格にもよりますが、片胸250ccを超えると個人的には大量だと思います)、本来それら脂肪細胞はすべて死んで貪食細胞に処理されるはずですがー。

さすがに量が多過ぎると処理しきれずに残ってしまい、”しこり” になってしまいます!

つまり、脂肪の大量注入”によって、しこりが出来るリスクが上がってしまうので、このようなクリニック(ドクター)は避けた方が無難ですよ。

また脂肪が死ぬ他の原因として、②脂肪を分散注入せず”一塊で注入する”ことも挙げられます。

移植した脂肪には血管がついていませんから、新しく血管が吻合する上で表面から近いところしか生着出来ないという欠点があります。

ですから出来るだけ分散して注入しないと脂肪細胞が死んで生着できないので、しこりになってしまうんですね。

②脂肪吸引で混入した不純物

コンデンス
脂肪吸引の操作時には、必要な脂肪細胞だけでなく、③一緒に不純物も混入してきて、これも直接なり間接なり、しこりの原因になります。

例えば小さいサイズのものから挙げると、

麻酔液の余分な水分や止血剤などの薬剤の成分、赤血球や脂肪を始めとした破壊された細胞などがあります。

これらを除去するために、フィルター付きのバックでろ過する方法や遠心分離する方法が開発され、それなりの効果が認められています。

小さいゴミなので、なんとかふるいにかけて分別できる、という感じです。

しかし!

これらを使用しても除去出来ず、もっとしこりのリスクになるものがあるのです!

脂肪細胞よりも大きい不純物は、簡単に分離できない!

不純物 拡大
実は脂肪吸引で混入する不純物はこれら小さな不純物だけでなく、脂肪細胞より大きな不純物もあり、上記の方法では容易に分離出来ません。

代表的なものは写真のような繊維組織で、これらはフィルター付きバックでろ過しても遠心分離しても、脂肪と一緒に行動を共にしてしまいます。

言うなれば、これは脂肪吸引の時に出る粗大ごみで、分別不能です。

分別不能なしこりの原因なら、どうしたらいいの?

ということですが、解決方法はあります!

発想を変えて、脂肪吸引の段階で混入を減らせばいいのです。

脂肪吸引時の不純物を最大限減らせる脂肪吸引器がある!

不純物の比較
結論から言うと、振動回転型の脂肪吸引器で、当院ではアキ―セル脂肪吸引器を使用しています。

脂肪吸引器の先が尖っておらず、また吸引口も小さいので、物理的に大きな繊維組織を採取するのを最小限にしてくれます。

ということは、その後に大きな不純物を分離しなくても元々少ない訳ですから、このような脂肪吸引器を使うだけでピュアな脂肪組織が採取出来てしまうのです。

よって、このような脂肪吸引器が脂肪豊胸の時の脂肪吸引には求められる性能ということになりますね。

しこりのリスクを下げる方法 3選!

ビフォーアフター動画
以上のことをまとめると、脂肪豊胸の時にしこりのリスクを下げるためには

①一度に多量の脂肪を注入しない
②注入は分散して一塊で注入しない
③不純物(特に繊維組織のような大きな不純物)を減らす ← そのためには脂肪吸引の段階の工夫が必須!

ということになります。脂肪豊胸するクリニック(ドクター)を選ぶ時は、最低限これらのことを理解&実践しているかチェックが必要ですよ。

ちなみに当院の場合、①片側200ccちょっとの注入にとどめていますが、②オリジナルD注入法で分散して注入するだけでなく、立体的で美しいバストを作り、③アキ―セル脂肪吸引などで不純物を極力注入しないようにしています。

脂肪豊胸のしこりの大きさと対応策

しこり2
脂肪豊胸のしこりの大きさや性状は様々で、基本は悪性化することはなく良性ですから過度な心配は不要です。

①直径5㎜以下のもの
注入した脂肪(Fat)が定着できずに死んで、油(Oil)になったものが多いです。別名オイルシストと呼ばれます。

この程度のサイズですと触ってもわからないですし検査もマンモグラフィではわからず、エコー検査(超音波検査)でようやく指摘されるぐらいです。

対応策としては、マッサージとかで自然に吸収されることもありますし、この程度のサイズのオイルシストでは石灰化を起こすことも稀で症状も出ないので、それ程神経質にはならなくてもよいでしょう。
気になる場合は、エコーガイド下で太めの注射針で中身を吸引除去することが可能です。

②それ以上のサイズのもの
これも基本は定着出来なかった脂肪ですが、分散注入せずに一塊で注入した場合(稚拙な注入法)に大きなサイズのしこりが生じやすいと考えられます。

また繊維組織のような大きな不純物が関与している可能性が高いと個人的には考えています。(アキ―セル脂肪吸引器を使用するようになってから、この手のサイズのしこりが圧倒的に少なくなりました)

しこりの内部はさらさらとしたオイルの場合だけでなく、ポタージュスープのようにとろっとした粘性の高いものや、粒々マスタードのようなことが多いですね。

対応策としては、この場合は普通の注射針では吸引しきれないこともありますが、太めの針なら内部を吸引することも大体は可能で切開することは少ないです。

ただし、昔のしこりで長期間経過したものの場合は石灰化が進んでいることもあり、その場合は切開して除去することも選択肢に入ってきます。

よって出来ないように予防することが一番ですから、先程の3選を実行しているクリニック(ドクター)を選ぶことが一番です。

番外編(ピルの内服)

ピル(経口避妊薬)は手術前後でしばらく休薬する必要があります。

理由は、ピルの影響でドロドロ血になるので、手術中のリスクとしては血管が詰まる血栓塞栓症になったり、また術後は移植した脂肪細胞への新生血管も詰まってしこりのリスクが上がったりするためです。

このコラムを監修したドクター

院長 坂内誠
銀座3丁目・BANNAI美容クリニック 院長 坂内 誠

保有資格

医学博士/美容外科専門医

経歴

  • 1995 新潟大学医学部医学科卒
    新潟大学医学部附属病院 外科勤務
  • 1997 新潟大学医学部大学院外科学1入学
  • 2001 同上卒 医学博士取得
  • 2006 大手美容外科入職
    都内大型院の院長を務め、グループ内の年間脂肪豊胸手術件数全国トップを毎年記録
  • 2020 銀座3丁目・BANNAI美容クリニック開設 院長に就任

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